トスカーナのソムリエ

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2010年 02月 11日

FAEMA E61

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17世紀から18世紀に掛け中近東から欧州にコーヒーが伝来して以来、
トルコなどと貿易の盛んだったヴェネツィアに、現存する欧州最古のバール「カフェ・フロリアン」が残るなど、
今日に至るまで“カッフェ”はイタリア人に長く愛され続けている。
1901年Luigi Bezzeraが発明したマシンにより誕生した“カッフェ・エスプレッソ”は、
イタリア人の“カッフェ”への飽くなき情熱と探究心により長い歴史の中で試行錯誤をされ続けてきた。

名前のとおり1961年にErnesto Valenteにより世に送り出された、
初の電動ポンプ式エスプレッソマシン「E61」は、
現在のエスプレッソマシンの礎として、今も尚そのシステムが受け継がれている。
その画期的なシステムと芸術的なデザインにより愛され続ける伝説のマシンは、
現在は「レジェンド」という名の復刻版が発売されイタリアをはじめ世界各国で使われているが、
現存するオリジナル品はイタリアでも数が少なく、愛するものたちによって大切に扱われている。

様々な部品に埋もれた乱雑な小さな町工場の中にも、また一人の魔法使いが潜んでいる。
「E61」と同じ1961年に生れた男は、「E61」を愛し、対話し、止まってしまった体に輝きと命を与え続ける。
「E61」が持つ“普遍”という魅力に取り付かれた男は、
このマシンを郷土の英雄になぞらえて「エスプレッソマシンのフェラーリ」だと語る。
イタリアには、思いもよらないところに今もまだ魔法使いたちが暮らし、彼らにより普遍が普遍であり続ける。

by trimpilin | 2010-02-11 16:55 | OLTREVINO


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